ユーラシア(Евразия)のやや西方は東欧(とうおう―東ヨーロッパ―Източна Европа)の地にあり、南に地中海(ちちゅうかい―Средиземно море)の水面(みなも)を見据えるバルカン半島(Балкански полуостров)に位置する共和国、ブルガリア(България)。 この国の東のはずれに佇むヴァルナ(Варна)という名の町は、この国の首都たるソフィア(София)、プロヴディフ(Пловдив)に次ぐこの国ブルガリアの第三の都市。 夏の首都、海の首都―などの異名で知られる湾岸都市として、地中海とエーゲ海(Егейско море)の海原に連なる黒海(こっかい―Черно море)の波のゆらぎを東に見据えるヴァルナは、地の五月から十月にかけての季節―避暑(ひしょ)の季節にあっては、長大にわたって続く砂浜(すなはま―Плаж)と街に大いなる賑わいを湛える。 町にまたその季節がやってきた。 寄せては返してゆく潮の波と、大地を照らしつける太陽の光。 それらを背後に、ビキニの水着(みずぎ)でその身を巻きつつ少女は砂浜にひとり、肌をあらわに遊興のときを過ごしていた。 ブルガリアの世界に開かれた『海の窓口』―ヴァルナはその象徴ともいうべき大聖堂(だいせいどう―Катедрала)を街の中心に据えながら、とどまることなく世界各地より集う船を受け入れ、旅の者たちを街に受け入れてゆく。 ゆらめく水面を傍に見ながら。 幼い喜びの声をもまた端々にたたえながら、今日の日も。
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