広大なるユーラシア大陸の東方、そして南のはずれは、インドシナ(Indochina)からマレー半島(Malay Peninsula)にかけて広がる王国―東南アジアの『ほほえみの国』―タイ(Thailand)の首都は、南にシャム湾(Gulf of Siam―タイランド湾)を見据える王都、バンコク(Bangkok)。 近く東方にカンボジア(Cambodia)との国境を据えるこの町から東へ南へ―海辺に位置するパタヤ(Pattaya)という町は、この地に随一の遊興(ゆうきょう)の街として、海を越えて広く知られている。 一年を通して温暖な熱帯のこの地も雨の季節―雨季(うき)を過ぎて、十月を迎えた街は、最も過ごしやすいと語られるところの乾季(かんき)のなかで、宵闇のなかで大いなる賑わいをたたえていた。 | ふたり笑う幼女 |
街はこの夜にあって、数多の訪れの者達の影を引き寄せていた。 ―夜市(よいち)。 それは文字通りの夜のひとときに開かれた市。行き交う人々の織り成す喧騒、ざわめき波打つ雑踏のなか。 | 去りゆく幼女達 | 夜遊び。 幼女たちはそのさなかでそのささやかな今宵(こよい)を、遊興のときを遊んでいたのであった。 波寄せる浜―ビーチを据える保養(ほよう)の街として、ときに『東海岸の宝石』などと称えられもするパタヤは、多くの色めく欲望をまとう者達がその身を交わす桃色の街―歓楽街(かんらくがい)の歴史をそこに秘めてもきた。 夏の衣を揺らしながらにゆき交う幼い少女たちの足取りとその影を小脇に、街は―。 今日の日も旅人の歩みを受け入れ、ゆるやかにうつろう熱帯の季節とともに、映える色を変えてゆく。
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