| 肖像を脇に舞う少女 | ユーラシア(歐亞)の大地はその東方にあり、そこに連なる悠遠の歴史の先に民々の大いなる息吹をたたえる雄大なる大陸―中国大陸(ちゅうごくたいりく―中國大陆)。 ・・・現今の世にこの遥かなる大陸の多くのところを織り成すは―いうて中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく―中华人民共和國)。 高らかにして眩き光からとこしえの闇まで―あらゆる色をそのうちに秘めあるこの地の都(みやこ)、それは遥かいにしえの時からそこに在り続けてきた大都(だいと)―すなわち北京(ほっきょう―ペキン)である。 | 梯子につかまる幼女 |
過ぎた時代の悠麗の王宮の遺構―紫禁城(しきんじょう―故宫)をそのうちに、それより遥かにいにしえの代に連綿と造り置かれてきた、その長大さたるやこれ万里(ばんり)とうたわれてもきた城壁の遺構―万里の長城(-ちょうじょう―长城)をその北の峰に見据えるこの都市は、この大なる中華人民共和国―中国(ちゅうごく)のうちの東北方にあり、そこに紅(くれない)に染まる五星紅旗(ごせいこうき)のはためきを見る。 迎えた時は西暦のもとの21世紀。町は遠からぬのちにそこに来たろうところの大祭を控え、来たろうその戦(いくさ)のハレの時に備えながらのそぞろの熱に包まれたるひと頃にあった。 | 宙を見つつ大股を開く少女 |
それは五輪(ごりん)―オリンピック(奥林匹克)―世界に散らばる優なる肉体の燃え盛りあがる炎の祭典。 延いてこのたび西暦のもとの2008年の夏に予定されるところの、その名も北京オリンピックの所以たるものであった。 国がその開催の地に選ばれたのは、その歴史のうえで初めてのことであった。そのこともまた手伝ってか、かの大祭に備えひとしおの熱をたたえる者たち―それは官(かん)から民(たみ)にいたるまで―が期待の感のうちに喜の声を高め、そしてまさしくその舞台に立とうとする者―選手(运动员)―たちが、各々の持ったその力を更に研ぎ澄ますべくと、各々で努む鍛練の勢いを日増しに高め上げてゆくのである。 さあ―そして今まさにそこに備えの練習の時を過ごす女たちの舞(まい)の姿が踊っていた。 | 大股を開くふたりの少女 |
| 大股を広げる幼女達 |
その身にまとうはそれぞれの色のそれぞれの大きさのレオタード―それは、その肉体をもってしてその身の軽やかな舞を見せつけるかくの競技―体操(たいそう)のためのいでたち。 ときに歩いて、ときに走って、ときに大股(おおまた)を広げながらに天井に向かい脚上げて―ときに空中を高く跳んでは身体を捻って、また降りては両の腕を吹き抜けゆく小風のように―静かにしなやかに舞わせながら、乙女(おとめ)の色をとどめあるままの肉体に麗と。 国家の代表としての選手という栄えあろう女になるべくと、その身体の鍛練に時を勤しむ少女―女孩―たち。舞う幼い女たちの戦いの日々、それは幕を開けそこにしばらくのとき。やがて迎える―迎えるかもしれないそれぞれの大舞台の日に向かって盛りを熱してゆくのだ。
| 少女、五星紅旗を背後に高跳 |
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