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遥かなる中国大陸(ちゅうごく-)のほど中央部に広がる四川省(しせんしょう)にまた蒸し暑い夏が訪れた。 成都(せいと)―内陸の地に悠遠の昔からの歴史をたたえつつ変わらず平原(へいげん)の真ん中に在り続けている、四川の省都たるこの町は、混沌のなかに行き交う人々の喧騒をたたえ、麻雀(マージャン―麻將)に興じる者達の姿をあちらこちらにたたえ、街路にその影を見やり続ける。 ひとり幼女は斯くなる成都の街にそのときを過ごしていた。幼児(おさなご)の色あり丸みを留めたその手に哺乳瓶(ほにゅうびん)を持ちながら、先の乳首(ちくび)に吸い付きながら。 暑さに包まれ久しい季節。これからまだ続いてゆく長い夏。 ときの衣(ころも)をひらりと揺らして、幼女よこれからどこへゆく。
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