初夏の港町の荒れ野原に水を抱えひとり歩く幼女
274 Water the Treasure

2007年5月19日
 欧亜(おうあ)の大陸のうちのなかほどそのまた南のところにあって、悠遠の昔よりそこにその歴史を刻み続けてきたペルシャ―イラン(ایران)は、広きにして荒涼たる砂漠(さばく―بیابان)の大地の広がる中東(ちゅうとう―خاورمیانه)にありながら、年のうちに四季(しき)を迎え、年のなかばの頃から夏(なつ)を迎える。

 そこは、ここイランの国の西のはずれに位置して隣り合うイラク(عراق)との境界を据え、南にペルシア湾(خلیج فارس)の水面を見据える港町(みなとまち)―マーシャフル(ماهشهر)という名の町。雑草(ざっそう)も伸び放題の野原(のはら)にて、水の入った容器を抱えながら幼女は歩いていたのだった。

 季節はしだいに暑くなる頃―初夏(しょか)。この地の娘―四歳の日々をこの日もそこに過ごしていた幼女、ただただ静かに抱える水を揺らしながらに歩いてゆく。

 遥かなる古代からそこにあり続けてきたマーシャフルの町は、流れる大河の潤いを大地に湛え、太古のこの地に営まれていた古代文明の痕跡―遺跡(いせき)をところどころに秘めもするフージスターン(خوزستان)の地に今日も、豊かな自然に見守られながら民の息吹をたたえている。

 かようの幼い娘の営みもまたそこにたたえ見ながら、うつろいゆく時とともに今日の日も。


幼女|イラン|世界採集写真館

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