|
日々は春に入りしばらくの時を経た日本(にほん)の皐月(さつき)のなかばの頃。大寺(おおでら)の―そして神社(じんじゃ)の参道を兼ねるその商店街(しょうてんがい)は、今の世にあって実に名高く、日々留まることなく観光の人の歩みをたたえている。 その市街はこの土曜の日に、いつもに増して多くの人々の歩みと、その賑わいに包まれていた。所以は街路の突き当たりに門を構える寺社の例大祭(れいたいさい)。盛大なるこの祭(まつり)の熱に触れるべくと参じた数多の人々と同じように、幼女もそのひとときを賑わいのうちに過ごしていたのであった。 その色晴れやかな行列でも通っているところか、あるいはただすずろに見るだけか、それとも―神輿(みこし)を揺さぶる男衆のなかにマッチョでも見つけたか。 街路を埋め尽くす囃子(はやし)と喧騒のなかで、正午(しょうご)を跨いで市街を―浅草(あさくさ)の町を沸かせた祭は時の盛りに向かってゆく。 ・・・梅雨(つゆ)にうつろう五色(いろいろ)の頃に。
|