|
揺らぐ瀬戸内海(せとないかい)の外れの穏やかな水面(みなも)を見据える大きなその街は、皐月(さつき)が訪れたばかりのこの日に大いなる賑わいの声をたたえていた。 素肌をあらわに晒した衣装(いしょう)をそれぞれ着込んで舞い踊りながら、この日のためにと置かれた舞台(ぶたい)に肉体を揺らす踊り子たち。 口紅(くちべに)の唇(くちびる)をすぼめる幼女も―ともに脚を折り曲げて座り込む幼女も―そうした踊り娘たちなのであった。 着飾る衣装に化粧(けしょう)を施した顔をしずめて静かに待つそのひととき。 悠久の港町(みなとまち)―神戸(こうべ)に色づく五色(いろいろ)の月が、そしてその熱をしだいに高めてゆこうとうつろう季節が過ぎるのだった。
|