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ほど近くに溜まる内海の波のゆらぎを見据える町の学校、そのほど近くに名のある山塊を仰ぎもするその中学校(ちゅうがっこう)は、春も終わりゆく頃のこの日にささやかな賑わいの時を見ていた。 体育祭(たいいくさい)、と呼ばれるまでには及ばないささやかな体育の日。 運動用の学校の衣(ころも)―体操着(たいそうぎ)をそれぞれの身にまとい、額(ひたい)に色とりどりのそれぞれの鉢巻(はちまき)を締めて駆ける者たち。それはこの学校に学ぶ生徒たち。その傍らに座りふたり笑う少女もそのうちの仲間―女子生徒であった。 肩まで捲り上げた体操着、そこからあらわに晒した素肌に撫で寄せる風は、横たわる六甲(ろっこう)の峰を抜けてやってくるさつきの風か、それとも夏めいた風か。 咲かせてみせた笑い和気のうちに過ぎゆく女子中学生の暮春(ぼしゅん)。覆う新緑の息吹とともに。
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