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中国大陸の南のはずれにあり大陸とは異なる歴史を歩んできた、そして今もまた歩み続ける異界の都市国家―香港(ほんこん)。夏季には熾烈な猛暑のなかに呑まれるこの町に、またその蒸し暑い季節が訪れようとしていた。 五月に入ったばかりの町の街角。まさに夏日という熱暑の日の陽どきに、踊る噴水(ふんすい)のさなか―噴き上がる水のさなか、少女は水浸しの地面にうつ伏せて、濡れたその髪を振るのであった。 飛び散る水滴とそれの作り出す涼風を寝せる身体に受けながら―路傍に過ごすひとときの避暑。びしょ濡れになった衣服に透ける肌―そのあらわなところは、日焼けを経たのであろう色を放つ素肌。 その気持ち良さは―あまりによくて―脇に遊ぶ人たちの影もまったく気にならないほどか。 少女の享楽のときとともに、そうして町の迎えたうつろいの時が過ぎてゆく。
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