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空(くう)を見つめるうつろな瞳の奥を―その胸のうちを去来するは、さしづめ長きにわたった祭のあとに来たるかの静寂の感か、わびしさ極まる想いか、あるいはただただとこしえの無なのか。 ここ小さな田舎町の保安課(Sheriffs department)の詰所にその身を押し込めたのは、そしてあたかも生ける屍のように―その身をやつれさせたのは、この国で俗にアイス(Ice)―クリスタル・メス(Crystal meth)―メス(Meth)と呼び習わされる物質。 ここから遥かなる海を隔てた島国―日本(にほん―Japan)に生まれた物質。 かの列島の国においては、今の世に覚醒剤(かくせいざい)―『シャブ』などの名で知られる魔性の物質―薬物(Drug)。 ―メタンフェタミン(Methamphetamine)だった。 長井(ながい―Nagai)という名の偉大なる智者の手のもとにおいて産声を上げた純白の結晶(crystal)―メタンフェタミンは、それから一世紀の時を過ぎてなお連綿と生きながらえ、時に麻薬(まやく)の王者―ヘロイン(Heroin)と並び称されもする『極めて危ない』―闇をたたえた薬物として陰に陽にとその名を知らしめ、愛好の者のその身を唸らせる。 そしてこの地―アメリカ合衆国(The United States of America)に暮らす人々のうちの数多の者たちを魅了し、そこから生まれる影を―蔓延のうちに生まれた中毒者たちの蠢動をもって、それまでになかったほどの―大いなる災厄の渦へとこの地を陥れている。 放つ光を失った・・・あるいは失いつつある静かなまなざしをうちに沈める彼女も、その結晶の魔力に囚われてここにやってきた。・・・脳を縦横に走るかの物質が―ドーパミン(Dopamine)の魅惑の乱舞がくれた快楽の波ももはや遠くへ。 これから更に深い鉄の檻(おり)の奥へと移送されるところなのか。 そうしてこれから向かうはどこへ。 さあともに時のおもむくままに―いつかは光の射すところへと、あるいは、滅びの彼方へと。 ・・・
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