元加治の夕暮
Sunset at Motokaji, Saitama, Japan

2006年10月14日
 日本(にっぽん)―列島中部やや東方。関東(かんとう)の地に随一ともいう長い歴史とともにある地、埼玉(さいたま)―その南西方。かつて元加治(もとかじ)と呼ばれた村はそこにあった。

 高麗郡(こま-)に属した元加治村は、御一新(明治維新)を経て明治(めいじ)の代、野田(のだ)、仏子(ぶし)なる2村の合併によって生まれた村であった。それから時は50年余を下り、飯能町(はんのう-)の興りとともに、その半世紀の歴史を終えた。

 入間市(いるま-)の部分となった今にあって、中世に栄えた武士団にゆかりある元加治という消えた村のたまづさは、鉄道駅や公営住宅団地などの事物にわずかに残されるのみのものとなった。

 夕日を返す流れの水面は、ほど近くの地の湧水にもとの流れを発する一級河川、入間川(いるま-)のもの。界隈の岸には、国の重要文化財への指定も受けた板碑(いたび)を寺宝に有する真言宗刹、円照寺(えんしょうじ)の伽藍などもある。

 うつろう季節の虫の啼く声と小川のせせらぎの声が静かに、村の穏やかな夏の終わりの夕凪のなかに沈んでゆく。


日本|世界採集写真館

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