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ゆき交う者達の織り成す大いなる喧騒、止め処なく溢れる人波のつくる、果てのなく賑やかな雑踏。そこは遥かなる中国大陸(ちゅうごく-)の南の外れ、中華(ちゅうか)の大地にありながらもその息吹から隔絶された異界、中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく)のうち特別行政区―香港(ほんこん)。 両の手のひと指につけて垂らした玩具(おもちゃ)で遊んでみる少女(女孩)のいるところ、そこは九龍半島(くーろん-)の中ほどに広がる旺角(おうかく)という名の街。 ここ香港のなかでも随一の賑わいをたたえる名のある繁華街(はんかがい)。途切れることなく軒を連ねる数多の商店、それらのつくる混沌としたその景観は極めて"香港的"であるとも謳われ、電化製品の集住地帯に、女性用の品ばかりを扱う通称『女人街(にょにんがい)』などの街が、各々の何かを求めて訪れる者達の途絶えることなき足取りを、朝から夜まで受け入れてゆく。 玩具屋、あるいは雑貨屋の店先であろうか。学校の制服であることを思わせもする服をその身に、楕円(だえん)の形の眼鏡(めがね)を瞳の先に見ながらに。学校帰りの寄り道であることを思わせもする、その姿。 世人の言うところの眼鏡っ娘(めがねっこ)だ。夢中なのかひとときに何を想う、そうしてこれからのときをどこへ。
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