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時刻は昼を廻っていた。 西に中華(ちゅうか)の大陸を見据え、北に琉球(りゅうきゅう)の諸島を見据える島国、台湾(たいわん―臺灣)。その本島の北端に広がりながらに首都の台北(たいほく―タイペイ―臺北)を囲む台北県(臺北縣)。そこは三界村という名の、海に面した金山郷(きんざんきょう)という町を織り成す村の高台にある、法鼓山―という名で呼ばれる仏教(ぶっきょう―佛教)の大きな宗派の里であった。 昼を迎えて食事の時を過ごす者達のうちに賑わう食堂のなかで、幼女―小妹―は空いた席にひとり腰を掛けて飯(めし)を食べていた。口にいっぱいに飯をほお張りながら、すずろに脇を見る。 小山のうえに位置するここ法鼓山の伽藍(がらん)は、眼下に金山の町を見下ろし、そのまた向こうに東支那海(ひがししなかい―东海)に連なる翡翠湾(ひすいわん)の潮の揺らぎを見据える。 まなざしの先になにを見てなにを想われますやら。秋を過ぎて冬に向かう季節の頃のひとときに。
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