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間近に海を見据える静かな半島の町の小学校、そのなかのある教室は、この午後のひとときにささやかな賑わいをたたえていた。 教室に催されていたのは国盗りじゃんけん―じゃんけんを通して国(くに)を盗り合う合戦の遊びで、国旗(こっき)の描かれた板は盗り合うその『国』を象徴するものであった。 床に敷かれた新聞紙の上に足を並べてとまる教室の友たち。そのなかでひとり座って少女は、ふたつの国旗に手を触れて、すずろに脇を見上げた。 制服の襟(えり)に垂らした黒髪―熊本(くまもつ)の女、火の国の女子(おなご)。 季節は秋から冬にうつろってしばらくの頃。ときは迫り来る年の瀬に向かいながら、賑わいとともに過ぎていった。
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