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関東(かんとう)の南の処は太平洋(たいへいよう)の大海原に連なる東京湾(とうきょう-)の溜まりを見据える港町(みなとまち)―横浜(よこはま)の市街。この街にあって間近にその水面を臨む港―埠頭(ふとう)を擁する横浜港からほど近くに広がる町は、中華(ちゅうか)の香りを携える繁華街(はんかがい)―中華街(ちゅうかがい)、ここ日本(にっぽん)でも随一の規模の中華街として今の時をそこに刻む横浜中華街(よこはまちゅうかがい)としてその名を地に馳せる。 夏も過ぎ去って季節もうつろいの時を迎えた頃。その市街はいつもに増して大いなる賑わいの声をたたえていた。ここに暮らす民々のひとつの故郷(ふるさと)―魔大陸の雄大なる国、中国(ちゅうごく)―中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく)の建国の日を祝う国慶節(こっけいせつ)。大陸の香り漂う市街を遍く沸かせていたのは、そして少女の舞いを見るものは、まさしくその祭(まつり)の所以であった。 留まることなく鳴り響く太鼓(たいこ)に爆竹(ばくちく)の炸裂のしらべ・・・街路を練り歩いてゆく獅子舞(ししまい)とともに歩む人々の織り成す喧騒のなかで、街は今宵に向かってその盛りを増してゆく。長い歴史のなかで幾度もそこに向かえてきた神無月(かんなづき)の始まりの時を伝えつつ。
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