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八洲(やしま)の国を巡り津々浦々、海洋の民の息づく地の瀬の水面に佇む常世の神処。 紀伊(きい)の離れは伊勢(いせ)のうわかた。向こうに尾張(おわり)は知多(ちた)の陸を見る内海―伊勢湾を北に見据える二見(ふたみ)の海岸のところ。今も人呼ぶ二見ヶ浦(ふたみがうら)の、霊妙の潮のたまゆらにたまる浅瀬に、夫婦岩(めおといわ)の影が揺らぐ。 沖合に沈む霊(みたま)の石の遥拝(ようはい)のところ、その鳥居として、遥か古来より在り続けてきた二見興玉(ふたみおきたま)の夫婦岩は、皇大神宮(こうたいじんぐう)に詣でる民の禊(みそぎ)の場としてあったこの浦で、とこしえのときのなかで途切れることなく繰り返される日の出と、落ちてゆくときの日の色を見てきた。 神のよりしろを見守る岩の頂を結ぶ注連縄(しめなわ)は垂れ、潮の香りに撫でられる磯の静寂のなかにたまゆらに揺れて、寄せてはまた引く妙(たえ)なる波間に、よる日の影をうつしては消やす。 延いて、大山の峰を遠くに見据える岩間に、出昇る朝日のゆらめき。夏の朝に凪ぐたまりの磯が、黄金(こがね)の光に満たされてゆく。
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