夜明けのロッテルダム
Evening in Rotterdam

2003年10月14日
 欧亜(おうあ―Eurazië)の大地の西の外れの外れで大西洋(たいせいよう―Atlantische Oceaan)の大いなる海原に連なる北海(ほっかい―Noordzee)の波の揺らぎを見据えるロッテルダム(Rotterdam)は、数多の海原を越えた貿易(ぼうえき―Invoer)を担う港町として、ここヨーロッパ(Europa)はオランダ(Nederland)の地の外れのところに中世(ちゅうせい―Middeleeuwen)と云われる頃から栄えてきた。

 隣国にあたるベルギー王国(Koninkrijk België)の向こう―フランス(Frankrijk)の北の高原に発し、王国のうちを貫流しながらやがてオランダの国土のうちに流れ込んでゆくマース川(Maas)。アルプス(Alpen)の峰の奥から流れ出でる大河川―ライン川(Rijn)の支流にあたるこの川の流れが、その本流に出会って潮のなかに消えゆこうとするとき、・・・ロッテルダムの街はかの運河のほとりにありその姿を映す。

 近代(きんだい―Vroegmoderne tijd)と云われる時代に入り、二十世紀(20e eeuw)も半ばに至って幕開け、この世界を覆い尽くした大いなる戦乱の時代。その戦禍を被り延いては甚大なる破壊にさらされたその市街は、業火の時代が終わり、ほどなくして復興の時を迎え、長きにわたって在り続けてきた様相とは懸け離れた様ながらの生まれ変わりを見たのである。

 古きを失い『近代』へと緩やかに変わっていった街は今も、大いなる交易の港としての存在の感を変わらず留める。ヨーロッパで最も大きな港―欧州の港―民世にユーロポートという名で称えられもするロッテルダムの今。

 忘れ去られた彼方のいつかの時代の幻影を―それぞれの想いを胸にこの地を往来した者たち、遥かなる航路の旅路の先に辿り着き、また去っていった者たち―水面にゆらめく幌(ほろ)の孤影を映してはまた消え去った船々。巡りまた巡る時のなかに繰り返された数多の物語の影を秘めつつ、大地の外れの港町に夜が明けてゆく。


オランダ|世界採集写真館

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