|
文月(ふみづき)のときの京都(きょうと)の町は、そのはじめから終わりにまでかけて、西暦にいう9世紀からともいう遥かなる時を連綿と生き続けてきた、あまりに名のある祭(まつり)で大いなる賑わいに包まれる。 祇園祭(ぎおんまつり)―東山(ひがしやま)祇園に御鎮座まします八坂神社(やさか-)、いうて祇園社の祭礼なるこの盛大な祭は、そのうちに稚児(ちご)の巡り歩きと舞いのときを幾度も迎える。 舞妓(まいこ)を思わせる真っ白な白粉(おしろい)の肌に映える、真っ赤な目尻の塗り物と口紅(くちべに)の唇。京を巡り歩く稚児行列。少女は間違いなくその仲間で、そして普段はその唇と同じ色の鞄(かばん)を背にからうのだろう。 暑い夏の盛りに向かう時候のなかで、すずろに振り撒かれる京の少女(をんな)の色、それはひうちにむんむんとしてはと、のぼりゆきますハレの色。 してまた悠久の古都の街角に華の薫りが添えられてゆく。
|