|
そこは小学校の校舎の昇降口―数多の児童達が入ってはまた出てゆく学び舎の玄関。 上から下まで、果ては靴まで、桃の明るい色した衣服にその身を包んだ少女は、この小学校の女子のひとり。足もとの靴を今脱いだところ、それとも今履いたところ、校舎に入るのか、それとも出てゆくのか。 背にランドセルはなし、手さげもなにもなし、これから屋外に始まる授業にゆくところなのか、はたまた昼休みなのか、それとも休み時間、あるいはそれは放課後のときやろうか。 振り返ってみせた笑いまなざしの先に何を見る、ひとときは撫でる風のもとに肌をあらわに見せられる季節、熊野(くまの)の山見るところで。
|