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渓流の脇に軒を連ねる古い家々、うら寂れながらも美観をたたえる農村(のうそん)―務源(むげん/ウーユアン―婺源)は、遥かなる大陸欧亜(おうあ)の東の大地は中国(ちゅうごく)のうちの東方の内陸、江西省(こうせい-)のうちの更なる北東の外れの上饒市(じょうじょう-)にあり、人の世から隔絶されて久しくあるような処で今もその時を刻む。 豊かな自然風景のさなかを流れてゆく水路。今日も観光の者たちを乗せてそこからゆらりと出発してゆく筏(いかだ)。その船着場(ふなつきば)に―務源の村を巡る運河(うんが)にひとり、幼女は暇の時を過ごしていた。 桟橋(さんばし)を兼ねる木造の小屋の柱に、大いに太り育った豊満(ほうまん)―デブ―の身体をなんかけて、幼きながらも溢れる重量感とともに、旅人たちを脇にたたずむ。 水郷(すいごう)、そして美しい農村として、今やこの大陸に広く知られるところとなった務源は、清代(しん-)、更に明代(みん-)と云われる時代の痕跡を多く遺し控えつつ、詩情を求めて訪れる観光者たちの歩みを留まることなく受け入れてゆく。 涼しい季節も通り過ぎようとする頃、そこに見せた赤い頬(ほほ)が焼け色に変わるときももうすぐか。
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