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その南に遥かなる洋(わだつみ)のゆらぎを見据えるインド亜大陸はとこしえを秘める大地にして、世にその様雄大のユーラシア(यूरेशिया)の一角に幾多の歴史と数多の民々の住処とその痕跡をたたえる。
悠遠の昔より幾つもの国をその股に掛けて連なるヒマラヤ(हिमालय)の高峰―そこから今も脈々と流れ出で続ける大河(たいが)は、この大陸に横たわる巨大なインド(भारत)の国に生を送る民の、そのうちの幾らかの民々の、心の源流として、いつの世にありしも、大地に注ぐ光を映し返してきた。
ガンジス(गंगा)―その大いなる流れは、そのほとりに、そしてところどころにて連なる数多の支流のほとりに、数多の聖なる地を見据えながら、やがては大地の見据えるわだつみに注ぎ込み、潮のさなかに消えてゆく。
ヤムナ(यमुना)という名の川もまた、このガンジスの枝たる大河、・・・ともにヒマラヤに始まる流れを大地に伸ばし、大地の歴史とともに連綿とその時を刻み続け、かの大河と同じように、聖なる水面としての民の崇敬を長きにわたって集めてきた。
アグラ(आगरा)はその流れのすがらのほとりにある町である。
今や世人の想像すら及ばぬほどの古(いにしえ)の時代―古代よりここにその名を知られてきたこの町は、この亜大陸の内陸は北にかかる大地―北インドの平原のさなかに、かつてこの地を配したムガールという名の帝国(ていこく)の時代の栄華の跡を留め、往時の息吹を今に伝える。
変わらずそこに暮らし続ける地の民の生の模様の傍で、遠く異国から訪れる旅人を神秘のひとときにいざないもする事物の数々は、時の支配者が幾多の異文化の粋を集めて建設した廟殿―タージ・マハル(ताजमहल)、そして城跡―アグラ城塞(-じょうさい)、・・・。
その多くが西暦のもとの16世紀(1501-1600年)から17世紀(1601-1700年)―この地に栄華を極めたイスラム王朝―絢爛たるムガール帝国(گوركانى)の代に生み出された遺物。
時代の彼方に忘れ去られた帝国の都の香りをたたえ秘める町が、揺らぐ霊妙の水面に影を映しながら黄昏(たそがれ)に沈む時。
町は途切れることなき遥かなる大地のうつろいを見守りながら、日々の巡りを今日も迎える。
―いつかの今日の日の終わりの時を、そしていつかの明日の光をただそこに見据えながら。
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