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北アメリカ(América del Norte)の南の外れにたたずむベラクルス(Veracruz)という名の町は、ここメキシコ(México)の国の数多の都市のなかでも殊に古い歴史をうちに秘める、海辺の港町(みなとまち)。 カリブ海(Mar Caribe)の海原に、やがては大西洋(たいせいよう―Océano Atlántico)の大海原に連なるメキシコ湾(Golfo de México)の波のゆらぎを、その向こうにアメリカ(América)はフロリダ(Florida)の島影を見据えるこの町に、年のなかでも暑さ燃え盛る季節がまたやってきた。 日除けのためのささやかな『海の家』を背後に船(ふね―bote)―ボートの横たわる渚(なぎさ)。少女(しょうじょ―niña)はその砂浜(すなはま―playa)にひとり座り、砂を弄くり遊んでいた。 髪垂れかかる少女用の―世に言う『スクール水着』を思わせもする―水着(みずぎ―bañador)のその身にあらわな、降り注ぐ太陽(たいよう―Sol)の光に晒した素肌。 ゆらめく水面(みなも)の遥か向こうはイスパニア(España)―スペインの地よりこの地に訪れし征服者が拓いた町。そして今には遊興の民や旅人たちの数多の歩みをたたえる享楽の街の渚に、熱暑の季節が、少女の季節がゆるりと過ぎてゆく。
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